「□□小四郎殿 氏真」

遠江国犬居当知行分并宇奈代官職之事

右任先判形之旨停止他異論、如前々永不可有相違、藤秀幼少之時、同名安芸守犬居三ヶ村一円相計之旨申掠、天沢寺殿判形数通有之云々、雖藤秀知行分代官職之儀者、如父虎景時為各別所宛行也、但於有申様者、糾明之上可加下知、縦令失念同名七郎爾重判形雖出置之、於申立者不可有相違、当知行分之内於有増分者、令言上随其分量可勤其役、此外山中次之所務諸納所等、是又為新給恩一円所宛行也、若百姓等及違乱者、名職令改易、新百姓可申付、其上百姓令参府雖企訴訟、一切不可許容、守此旨弥可励忠切之状如件、

永禄五壬戌

二月廿四日

氏真(花押)

天野小四郎殿

→静岡県史 資料編7「今川氏真判物」(天野文書)

 遠江国犬居の当知行分と宇奈代官職のこと。右は先行する判形に任せて、他の異論を排除する。以前のように相違ないように。藤秀が幼少の頃、一族の安芸守が犬居3村一円を申し掠めて天沢殿判形が数通あるという。とはいえ、藤秀の知行分と代官職については、父の虎景の時のようにそれぞれ別の地所として宛行なう。ただし、申し出があるならば改めて調べた上で指示を行なう。たとえ失念して同族の七郎に再度判形を下されたとしても、申し出た者においては相違があってはならない。当知行のうちで増分があったら、報告してその分だけ役を勤めるように。このほか山中の全ての年貢は、こちらも新たな給恩として一円宛行なう。もし百姓が違反するのであれば、名職を解任し、新たな百姓を任命するように。そのことで百姓が駿府へ来て訴訟を起こしても、一切認めない。この旨を守りいよいよ忠節に励むように。

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