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井伊直政、遠山佐渡守に書状を遣わし、遠江帰国後に連絡すると伝える

 返々半左衛門尉殿之儀、不及是非事とハ申なから、御せうしにて候、御書を被遣候ハんか、明日御馬を被納候間、御取紛之時分ニ候条、我々より申越候、なさま遠州より重而可申入候、其元御存分之由、先以目出度候、以上、
其表之様子急度御注進、則披露申候、仍半左衛門尉殿打死之由驚入候、御勝事千万ニ候、殿様一段御をしみ被成候、其方より被仰越様、一段神妙成儀ニ候由ニて候、是以御かんし被成候事、半左衛門尉殿之儀中々不及申候、乍去定事候間、不是非候、御弟子候之上者、少も御無沙汰被成間敷之由被仰出候、返々右旨我々方より相心得可申入候之由候、恐々謹言、
十月十七日
 直政(花押)
[ウハ書ヵ]「  ■■■■ 直政
遠山佐渡守殿 御返報」

→静岡県史資料編8 1758「井伊直政書状」(上原準一氏所蔵文書)

天正12年に比定。

追記:返す返すも半左衛門尉のこと、是非もないこととはいいながら、お気の毒なことです。ご書状を送られると思いますが、明日ご帰陣になられますので、お取り紛れになっている状況です。私たちより申します。遠江国から必ず再度のご連絡をします。そちらはご無事とのこと、まずはお慶びします。以上。

 そちらの状況を取り急ぎご報告いただいたこと、すぐに披露いたします。半左衛門尉が討ち死にされたとのことで、驚いています。大変お気の毒なことです。殿様も一段と惜しまれていました。あなたからお知らせいただいたのは、一段と神妙であるとのことでした。本当に『御かんし=勘事?』なされましたこと、半左衛門尉殿のことはなかなか申し出せませんでしたが、決まりごとなので是非もなく、『御弟子』であるからには、少しも粗末に扱わぬようにとの仰せをいただいています。返す返す、右のことを私たちから申し入れますので、お心得下さい。

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