如顕先書、京勢催行由、注進連続之間、先軍勢を集候、其表之義任置候条、善悪共安房守被相談、無二可被及防戦候、
一、郷村之兵粮、正月晦日迄限而、悉く要害へ被入置事、惣並候、厳可有下知候、少之切所をかたとり、城中へ兵粮被入義、諸人難渋毎度候、畢境其方可被楯籠居城江皆可被集候、自元郷村ニ有之者、小旗先迄も然与被指置義、勿論候、
一、長井坂当番小幡衆ニ候、当表へ参陣ニ定候間、来正月七日ニ、必ゝ彼番所被請取人衆可被返事、
已上
右、定所如件、
十二月廿七日
「氏直朱印」
長尾左衛門尉殿
同 孫七郎殿
→1998「北条家朱印状写」(暁庵景治年譜)
天正17年に比定。
先の書状で示したように、京の軍勢が動員されたとのこと。報告が続いていますから、まずは軍勢を集めています。そちら方面の件はお任せしますから、事の善し悪しともに安房守に相談され、とにかく防戦して下さい。
一、郷村の兵糧は、1月末日を期限にして、全て要害へ入れて置くこと。例外はありませんので厳重に命令して下さい。少しでも厳重な場所ということで城中へ兵糧を入れられることは、毎回諸人が困ることです。最終的にはあなたが籠城する城に全て集めるべく、郷村の者は元より『小旗先』まで確実に指示なさる事は言うまでもありません。
一、長井坂の当番である小幡衆は、こちら方面に参陣が決まりましたので、来たる1月7日に必ずあの番所を受け持って(小幡の)部隊を撤収なさるように。