一札披見、祝着候、作倉普請之儀、悉出来、明隙候、東表申寄者数多有之間、可及一行ため、今十日関宿迄着陣候、将又其已来御床しく候、為如何今度者無御出陣候哉、無御心元候、内ゝ自是可申述由、八幡ゝ存候へ共、無手透故遅ゝ、御無沙汰之様ニ候、委御報待入候、何様重而可申候条、不能具候、恐ゝ謹言、
十二月十日
氏直(花押)
小幡兵衛尉殿
→小田原市史1716「北条氏直書状」(千葉県千葉市立郷土博物館小幡文書)
小田原市史・後北条氏年表ともに天正13年に比定。
書状を拝見し、祝着です。佐倉の普請の件、全て完成して手が空きました。東方面の応援要請が多数あるので、手立てを講じるべく今日10日に関宿まで着陣します。そういえばあれ以来お目にかかっていません。どうして今回はご出陣がなかったかと、お心元ないでしょう。内々でこちらから申し述べるべきこと、八幡存じておりますが、手が空かないため遅々とし、ご無沙汰の体になってしまいました。詳しいご報告お待ちしております。いずれにせよ再びご連絡しますので、詳しくは申しません。