一、対当方へ罪科人、越国没落之上、何分ニも当方之策媒ニ有之儀候、如下知被申付尤候、一、大石甚之事、不心得由先段申候、何分ニも越国之者、大途之扶助人者、大途之下知次第候処、其方自分之様ニ取成、我ゝ状をも不為渡、我侭ニ被成様不審与之儀候、惣別五人衆とて一所ニ可置儀無之候、此度もおのれゝゝか知行へ在郷とて申出候人、先段ニ被成様無届候、恐ゝ謹言、

卯月十二日

氏政(花押)

安房守殿

追而■彼者召寄儀、争河田なと可遂疑心候、始喜多条結句彼者ハ不忠■■かたゝゝ取合故、致我侭、家中之者迄致緩怠とて、無興之こと致久、不可過分別之咎、人を咎ニ行候とて、咎もせさる忠信之者、争機遣■すへく候、無塩味之手■被存候、以上、

→2064「北条氏政書状写」(松代古文書写)

天正7年に比定。

 一、こちらに対する罪人、越後国から没落した上、何分にもこちらの策謀にありましたこと、下知のように申し付けられたのはもっともです。一、『大石甚』のこと、不心得であることは先に申しました。何分にも越後国の者で、大途の扶助対象者は、大途の下知次第であるところ、あなたは勝手に取り成して、我々の書状も渡さず好きなようになさっているのは不審とのことです。大体、5人衆にしても1箇所に置くこともありませんでした。この度も各々の知行へ帰郷したいと申し出た人、先になさったことの届けはありませんでした。

 追記:あの者を召し寄せたこと。河田を争うなど疑心を遂げますように。喜多条をはじめ、結局あの者は不忠で、方々で紛争があったので勝手をして、家中の者までいい加減で詰まらないことを長々としており、分別の罪は留まることを知らず。人を罪に陥れようとして、罪のない忠信の者を、機を争って送りつけようとしています。よく考慮して評価して下さい。

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