戦国時代は飢饉と略奪が凄まじかった。連続して襲い来る天災と飢饉の中で、生き残るためには無能な指導者を排除するしかなかった。それが下克上の真実の姿だ。
既存の停滞した世上を打破するためにとか、理想的な国家の在りようを探求してとか、そういう悠長な時代ではない。明治維新とは決定的に違うことを念頭に置きたい。
そうした中で台頭してきた戦国大名には、以下の条件が求められていた。
- 大規模な治水・灌漑を行ない農業を振興する
- 荘園制を解体し、独立した農民を取り立てる
- 交通網を整備し、商業を振興する
- 近隣の農地を襲い、略奪によって領民を富ます
- 領民を軍事的に保護する
それぞれの戦国大名は、試行錯誤しながら独自の権力を築いていった。それゆえに、江戸期の均一化された大名像は全く当てはまらない。そこには、地域ごとで全く異なる権力として成長している大名の姿がある。
この辺りのことは『雑兵たちの戦場』(藤木久志)や『戦国大名の危機管理』(黒田基樹)に詳しい。一読をお奨めする。