織田家家臣、佐久間信盛の文書は、織田氏側が今川義元との合戦について言及した珍しいものだ。
そのあて先は伊勢神宮の中でもアマテラスを祭神とする内宮である。一方今川氏は、関口氏純文書・今川義元文書から外宮との関係が把握できる。しかも、催促を受けていた文書も残っていて興味深い。
佐久間文書から割り出せることを列挙する。
- 織田氏は今川義元を討ち取った。
- 織田氏と今川氏で行なわれた合戦に伊勢内宮は関心を持っていた。
- 伊勢内宮と織田氏家臣佐久間氏は通信を行なっていた。
関口氏純文書から把握できることは以下の通り。
- 夏(4~6月)に、今川義元が出陣する予定。
- 外宮改築費用を三河国へ賦課すると今川氏は約束。
- その他の国々(複数)についても今川氏は考慮すると約束。
- 伊勢外宮と今川氏家臣関口氏は通信を行なっていた。
ただし、今川氏は時宗体光上人からの文書や熊野大社への報告文書に見られるように、多数の宗教集団とも合戦情報を共有している。この点を踏まえ、伊勢外宮が今川氏にとって特殊な存在だったのかを今後の課題にする。