空白の桶狭間
余りに考証がひどい小説を読んだので、記録しておこうと思う。本来小説は文学として表現されているもので、厳密な史料批判を行なうべき対象ではない。それは承知しているものの、今回取り上げる『空白の桶狭間』(加藤廣著・新潮文庫)で …
余りに考証がひどい小説を読んだので、記録しておこうと思う。本来小説は文学として表現されているもので、厳密な史料批判を行なうべき対象ではない。それは承知しているものの、今回取り上げる『空白の桶狭間』(加藤廣著・新潮文庫)で …
日頃目にしない鎌倉~南北朝の資料を見た際に「着到状」が後北条のそれと激しく乖離していたため、少し考え込んでしまった。 判り易く説明すると以下のような流れになる。 ■鎌倉~南北朝 部将「ただいま部隊が加わった。これが着到状 …
戦国大名で自家宛の文書をきちんと残せている家は少ない。大きな大名では毛利と島津、上杉ぐらいではないだろうか。今川・武田は恐らく焼失したのだと思われる。その中で、後北条の文書の不在が気になって仕方がない。 小田原が開城した …
小田原合戦の推移 戦争を指揮していた氏政は、小峯御鐘台を中心とした丘陵地を一族で固め、台風を待っていたのだと思う。井細田や渋取川のラインを突破されたとしても、山上に踏み留まればよいと。現在の暦で8月中旬以降は台風が来易い …
小田原合戦での両軍の思惑を書き出してみる。便宜上、後北条方を東軍、羽柴方を西軍とした。私が想定する布陣図は以下のようになる。 ■東軍 実際の総指揮は氏政が行なっていたと思われる。これは、氏規宛て書状、猪俣邦憲宛て書状で具 …
その1では、地元時代を思い出して色々と書いた。小田原住人からすると、入生田近くまで行って早川を越え急坂を登坂したり、早川駅の向こう側まで行って登るような距離は遠いのだと。 よくよく考えてみても、細川忠興が陣取ったという富 …
1982年の夏、中学生だった私は初めて石垣山に登った。何となく入った郷土史研究会の活動で「城跡にでも行ってみるか」ということになり、場所を任された次第。ちなみに、顧問の教師を含めて郷土史に興味のある者は私だけ。2班あって …
西湘。文字通り、西の湘南。 最近は小田原周辺を「西湘」地域と呼ぶ例が多いように見受ける。これは私が東京に出てからだから、1990年代からだと思う。「湘南」ブランドを想起させる名称が口当たりもよく、ベッドタウン・観光での誘 …
『雪の峠・剣の舞』(岩明均著・KCコミック)は、歴史関係のブログでいくつか取り上げられた名作だ。特に『雪の峠』は佐竹氏に詳しい方も絶賛していたので、書店に少量入荷したという機会に購入してみた。結果からいうと、絶賛は正しい …
化野燐著・角川文庫。現在までに2作出ている。私はたまたま2作目から読んでみたが、かなり興ざめなシーンもあった。それぞれ独立してはいるものの、流れとしては1作目から読み進むことが想定されているようだ。対象年齢が若そうだし本 …