その後色々と判ったことがあるので再び覚書。考古学の地層研究で2009年に色々と動きがあったようだ。地震関連の予算は、2006(平成18)年が中越地震の影響を受けて補正予算がかかっているものの、大体が100億円前後。2007年度以降はコツコツと研究を積み重ねたのだろう。

地震調査研究推進本部の資料

宮城県沖地震における重点的な調査観測 平成21年版

3.4 地質調査・津波シミュレーションに基づく地震発生履歴に関する研究 2009(平成21)年3月2日

文書内101ページ目から抜粋。防波堤に囲われた部分が請戸港。赤丸が貞観津波堆積物検出地点。青丸は掘削地点。

2011年の震災時は左側の予想範囲まで浸水し、港周辺は壊滅した。貞観津波の到達点と適合する結果となった。

赤丸の北側で半島状に突出している白いエリアは請戸城跡。

 

 

 

文書内102ページの福島県北部沿岸の津波浸水域想定図。

請戸港は完全に浸水するものの、福島第一原発付近は浸水エリアが狭いこともあって余り書かれていない。

地層調査が充分に行なわれておらず未知数だった可能性もある。

 

 

 

経済産業省の資料

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の耐震・構造設計小委員会内、地震・津波、地質・地盤 合同WGの議事録

第32回 2009(平成21)年6月24日

16ページで、委員の岡村氏が貞観地震が連動型の巨大なものであった可能性を指摘。それまでの、双葉断層からの震動対策一辺倒だった議論に疑問を示す。東京電力側は被害を示す史料がないと回答。事務局は今後の対応を約束。

第33回 2009(平成21)年7月13日

2ページで、東京電力が貞観地震想定対応を回答するが、やはり双葉断層絡みでの震動に終始。岡村氏からはスマトラ沖地震のような連動型は従来の枠組みで捉えきれないとの指摘があり、引き続き調査することとなる。

間に合わなかった研究成果

中部地震で震動が問題視されたことから、活断層とその震度が東京電力の最大の関心事だった。そのことから、スマトラ沖のような連鎖地震で津波が発生することに注力できなかった。また、福島沿岸が津波の文献伝承を持たなかった故に災害予見に達するのに時間がかかった。但し、関係者が全力かつ最優先で臨んだとしても、どれだけ被害を抑えられたかは判らない。1.5年では短過ぎて準備期間とすらいえない。もう3年あれば状況は大きく変わっていたかも知れない。

Trackback

no comment untill now

Sorry, comments closed.