地震に関しての個人的体験を、何かの参考になる可能性もあると思い書き留めておく。
関東大震災
これは祖母に聞いた話。1923(大正12)年の9月1日、小田原の酒匂にいたという。たまたま、祖父とともに庭にいたところ、グラグラと横に揺れた。それが収まったと思った瞬間、縦に大きく身体を突き上げられたそうだ。勿論立ってなどいられず、転倒した後四つん這いになった。座敷の奥に乳児だった長男(私から見ると伯父)がいたので、祖母は何とか進もうとしたが、バウンドして前に行かない。転がるようにして祖父が力ずくで駆け込み、長男を抱えだしたという。「怖い」と思う余裕はなく、身体が撥ねて困ると考えたという。
祖父母宅は国道1号線沿い。【酒匂県営住宅入り口交差点】のすぐそばにあった。暫くすると海水がくるぶしより上に浸された。とはいえ酒匂はずっと平地だったので覚悟を決めていたところ、水はそれ以上来なかった。母屋は無事だったが、裏にあった蔵は横転していた。既に零落していたが往時は大地主だったので、祖母は蔵の敷地を掘ってみた。残念なことに、何も出なかったそうだ。
伊豆大島近海地震
私が実際に経験した地震1978年近辺に起きた。一番大きかったのは1月14日の震度5~6だが、その前後で何十回も地震があったことを記憶している。当時住んでいた箱根では、夜中だと地響きの音が微かに聞こえ、「来る!」と思った瞬間、軽く突き上げられた後に横揺れがかかった。最初の頃は家族が全員集まって様子を見ていたが、その後は回数が多いこともあって放置状態だった。最も大きく揺れた本震は土曜。放課後の体育館で横向きに揺ら揺ら来て、かなり長かった。震度は5だったように記憶している。
夜間が多かったように思うが、昼間でも何回か震度4程度はあり、友人と平均台に乗ったり徒競争をしたりで遊んでいた。今から考えると地震酔いもあったようだ。
ちなみに、それなりに揺れた体験だったので、東京に来てからもこれを基準に地震を判断している。今回の地震と比べると、同じくらいに感じた(間に33年も挟んでいるので定かではないが)。但し、3月11日の私は千代田区のビルの5階におり、それなりにしなったと思われる。8階では蛍光灯が落ち、キャビネットが倒れたという。地下の食堂にいた者の話を聞くと、ラーメン丼の中身が飛び散った程度。
1978年の経験から「揺れは何度も来る」と注意を促したが、その場にいた20~30代のメンバーは1度で収まると考えていたようだ。「このような揺れは初めて」と語る者が殆どだった。そう言われれば、2000年の三宅島噴火を除き、関東が震源地の地震は絶えている。