最近の戦国物のゲーム・ドラマを観ていると、大名なのに身なりが異常な人間が常態になりつつある。現代風の髪型と面貌で、着衣は辛うじて昔風という 😯

各種史料が揃って、本格的な歴史研究が進んでいる昨今に逆行するようで不思議な現象だと、個人的には思う。

一般に、月代を剃っていない武士は失業が長いか元服できていない可能性が高い。また、「お歯黒は今川義元と公家のもの」という変な現代常識があるが、身分が一定以上の武士はお歯黒を染めていた。『おあむ物語』の、首級のランクを上げるために死後お歯黒を塗るという記述がそれを裏付けている。
烏帽子については、着装必須かは微妙だ。室町中期以前であれば、たとえ全裸になっても烏帽子だけは外したくないという意識が強かったのだが、戦国期後半になると頭頂部を晒した肖像画も出てくる。ここは誤差だと見てよい。

戦国でも現代でも変わらない事柄(親子の情や義理人情など)はあるものの、外見を不必要に現代人の感覚に引き寄せるのもいかがなものかと思う。キャラクタービジネスとしてはそれでいいのかも知れないが、「ゲームメーカーやマスコミが研究を踏まえて採用している」と思い込む人が増える…… 🙄

シリアスな戦争をチャンバラ活劇にしてしまった近世の軍記ものと同じ現象が繰り返されるということで、これはこれで歴史の一部と認識するのが正しいような気もするが、どこか釈然としないのも事実である。

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