就大塚之郷任置、具申遣候、能ゝ可致分別候、

一、若年之間ハ、先ゝ親之以苦労致奉公儀、古来法度之様歟、雖然、譜代之仁ト云、親子数多之儀ト云、彼是共ニ不准自余、如此候、弥其方覚語見届候ハ、何分ニモ可引立間、心易可存事、

棟別・段銭・人足、此三ヶ条ハ、自・他国共ニ法度之間、不可指置候事、[猶別紙ニ有]

右、朝暮無油断、存分ニ被嗜、可為肝要候、条ゝ、鈴木修理ニ申含候、仍如件、

天正十年[壬午]五月十三日

 長則判

木呂子新左衛門殿

→戦国遺文 後北条氏編2338「上田長則判物写」(岡谷家譜)

 大塚の郷をお任せする件、詳しくお伝えしました。よく考えて治めて下さい。

一、若年のうちは、まず最初に親の苦労で奉公すること。古来からのしきたりでしょうか。そうはいっても、譜代の出自であることといい、数代にわたって仕えてくれたことといい、どちらを考慮しても他とは異なります。このことから、あなたの頑張り次第ではもっと引き立てますから、ご安心下さい。棟別・段銭の徴税と人足の提供、この3点はこの国でも他国でも決まり事ですから、放っておいてはなりません(更に別紙に書きました)。

 右のこと、朝も夜も油断なく、充分に勤めることが重要です。それぞれ鈴木修理に申し含めています。

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