就太方様御煩、一翰祝着候、経年月極労候、更無頼候、雖然、於保養無由断候条、昨今少験気之分候、哀々取延度候、将又甲州無仕合之儀、無是非候、然共彼分国諸境目無異儀由候間、至于今日、当方迄之苦労ニ無之候、委曲期重説候、恐々謹言、
六月廿五日
氏政(花押)
案独斎
→戦国遺文 後北条氏編「北条氏政書状」(大野正明氏所蔵文書)
1575(天正3)年に比定。
大方様のご病気についてお手紙いただきありがとうございます。年をとっているので症状もひどくなっています。さらにおぼつかなくなっています。そうはいっても、保養については油断なく行なってきましたから、昨日今日は少し回復の兆しが見えてきました。申し訳ありませんが延期いたしたく。一方で甲斐武田氏が敗戦したこと、是非もありません。とはいえあの分国の国境に変化はないですから、今日に至ってもこちらが動くようなことはありませんでした。詳しくは重ねての説明を期します。