重而預脚力候、御書面一ゝ披見申候、 一其表堅固之御備之由、自何肝要存候、 一御状則 御両人殿入御披見■■、御取込ニ而、御返事無之儀者不苦候、幾度 御両殿様へ、其口堅固之備并深沢表之模様御注進肝要候、幾度直書を以、可被御申上候、 一当表之儀、先書如申候、梶原源太於小田之地属御味方候、如此御吉事相重候、敵者弥折角之躰、無是非候、敗軍程有間敷候、陣庭を引出ニ付而者、此度可被討果候、可御心易候、猶期後音候、恐々謹言、

六月廿一日

氏照(花押)

那波駿河守殿 参

→神奈川県史 資料編3「北条氏照書状」(色部文書)

1584(天正12)年に比定。

重ねて飛脚に預けます。ご書面を逐一拝見しました。一、その方面は堅固な備えとのこと、何より肝要だと思います。一、ご書状をすぐご両人(氏政・氏直)にお見せしたところ、取り込み中でして、お返事がないのも仕方ありません。何度も両殿様へその口の堅固な備えと深沢方面の状況をご報告するのが肝要です。何度も直接の書状をもって、申し上げられるべきでしょう。一、この方面のこと、先の書状でもお伝えした通り、梶原源太が小田の地で味方に属しました。このように吉事が重なっています。敵はますます困難なことになったのは明白です。敗軍となるのもほどなくです。陣地に引き出したら、今度こそ討ち果たしましょう。ご安心下さい。さらにご連絡をお待ちしております。

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