一知行分本知之事者、不入之儀領掌訖、新知分者可為如前々事、

一親類・被官・百姓以下、私之訴訟企越訴事、堅令停止之、但敵内通法度之外儀就有之者、可及越訴事、

一被官・百姓依有不儀、加成敗之処、或其子、或其好之人、以新儀地之被官仁罷出之上、至于当座被相頼主人、其輩拘置、彼諸職可支配之由、雖有申懸族、一向不可許容、并自前々知行之内乍令居住、於有無沙汰之儀者、相拘名職・屋敷共可召放事、

一雖為他之被官、百姓職就相勤者、百姓役可申付事、

一惣知行野山浜院、如先規可支配事、

 付、佐脇郷野院本田縫殿助為急帯之条、以去年雪斎異見、為中分之上者、如彼異見可申付事、

一神領・寺領之事、定勝於納得之上者、可及判形事、

一入国以前、定勝并被官・百姓等借銭・借米之事、或敵同意、或於構不儀輩者、万一有訴訟之子細雖令還住、不可令返弁事、

右条々、領掌永不可有相違也、仍如件、

天文廿二年

三月廿一日

治部大輔判

奥平監物丞殿

→愛知県史 資料編10「今川義元判物写」(松平奥平家古文書写)

 一、知行分の本知行のことは、不入であることは領掌済みである。新知行の分は以前のように行なうこと。
 一、被官・百姓が不義をなしたことで成敗を加える際、その子供や関係のある人間は、新たな土地の被官になった上で、当座の主人を頼り、その輩を雇用して、その諸職を支配しようという申し出があったとしても、一切許容してはならない。同時に、以前より知行のうちに居住していながら、無沙汰がある者は、名職・屋敷ともに没収する。
 一、他の被官となっていても、百姓職を務める者には百姓役を申し付けること。
 一、惣知行の野・山・浜・院は先の決まりの通り支配すること。
 付:佐脇の郷野院は本田縫殿助が急帯をなしたので、去る年に太原雪斎の意見によって下地中分を行なった。その意見のように指示するように。
 一、神領・寺領のことは、定勝の納得の上に判形を出すこと。
 一、入国前に、定勝と被官・百姓が借りた銭・米のこと。敵に通じたり、拠点内で規則を破った者には、万一訴訟の事情があって帰り住んだとしても返済はしないこと。
 右の項目を了解し、末永く相違のないように。

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