ことのついでに、DVDも観てみた。映像になったのでストーリーを端折っているのは仕方ないとして、全体はよくできている。主演のデイヴィッド役が、物語の最後でものすごくディケンズに似てきたのが感動的。「なるほどそれでこの役者にしたのか」と得心するほどの出来栄え。左利きだったので、当初は「何でこの役者?」と疑問に思っていた(少年時代は右利き設定だったので)。
 メル先生もトラドルズも出てこないのと、ペゴティとディックがイメージより豊満過ぎなのが気がかりだったけど……。少年時代=ダニエル・ラドクリフのパートが長い。トラドルズが、泣くと髑髏の絵を書き散らすのは、ディックの筆写シーンにちょっとだけ織り込まれていた。伯母さんのロバ戦争は映像で見ると卑近に映るのは何だろうか。
 マードストンとジュリア・ミルズは、イメージそのままだった。マードストンが悪役ながらそれなりに傷ついたりする印象も映像化できていたのが素晴らしかった。ジュリアはちょい役で5秒も出ていなかった。原作を読んでいる人間だけが「なるほど、恋愛おたくっぽい」と頷ける仕掛けの模様。
 アグニスは地味なだけで、やはり映像と文章だと、言動が主となる人物描写は厳しい。ユライアも同様で、かなりの尺をとって描写しているものの、カマっぽいだけだし。
 不可解に思ったのは、スティアフォースがローザに恋愛感情を持っているという点。原作のスティアフォースはもっと複雑な人格で、ローザに甘えているような反発しているような、それでいて手玉にとっているような微妙な関係を持っていた。ここがどうも納得いかない。

Trackback

no comment untill now

Sorry, comments closed.