就商買之儀、徳政・年紀・要脚・国役事、令免許之訖、并永代買得之田畠・屋敷・野浜等義、縦売主或闕所、或雖為披官退転、不可有異儀、然者年貢・色成・所当・上年貢事、任証文之旨、可有其沙汰、并質物之義、雖為盗物、蔵之不可成失墜、本利遂算用、可為請之、於蔵失質事、如大法本銭以一倍可相果候、次付沙汰、不可有理不尽之使、自然如此免許之類、雖令棄破、代々免状在之上者、不混自余、於末代聊不可有相違者也、仍状如件、

天文廿壱

十二月廿日

三郎 信長(花押)

加藤全朔

加藤紀左衛門尉殿

→愛知県史 資料編10「織田信長判物」(西加藤家文書)

 商売のことについて。徳政・20年紀法・要脚・国の課税については免除する。ならびに、永代で購入した田畑・屋敷・野・浜などのことは、たとえ売主が欠所、あるいは被官を外されたとしても、異議のないように。ということで、年貢・雑税・地税・上年貢のことは、証文の通り、その納税を行なうように。ならびに、質入れされたものは、盗品であっても、蔵から失うことのないように。本利の算出を行なって請け出すこと。蔵から質物を失うのは、大法のように元本と同額をもって相殺する場合とする。次いで、納付については理不尽な取り立てを行なわないように。万一この類の免除が破棄されたとしても、代々の免状を持っている上は、他に混じらず、末代まで些かの相違もあってはならない。

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4 comments untill now

  1. 教えてください。
    (1)この安堵状は、加藤全朔と加藤紀左衛門尉が信長に要請して獲得したものだと思います。その場合は、「不可有異儀」の主語は信長ではないのですか、「異義を申し立てないように」ではなく、信長が異議を言わないのではないのですか。
    (2)「所当」は地税だとすると、加藤氏たちは熱田で信長に借地料を払っていたのですか。
    (3)「并」が「合わせて」だとされていますが、税金と合わせて質をとるとはどういうことですか。
    (4)「本利遂算用、可為請之」の部分で、「可為請之」が訳されていないと思うのですが。
    (5)「并」以下の文意がとれないのですが、具体的には何を決めたのでしょうか。
    よろしくお願いします。

  2. 「所当」について、『古文書古記録語辞典』の記述を引用します。ご参考までに。
    その土地からの所出物として領主に上納されたもの。所当官物、所当地子、所当年貢、所当公事などと用いられたが、平安末期から所当、所当米などと用いられ、室町期には年貢を意味する語となる。

  3. 通りがかりの者 @ 2009-09-25 08:09

    この状を理解するには、天文廿二年十月に織田信勝が加藤順盛に同じ内容の文書を判りやすい書き方で発給していますから、それを参考になさったらいかがですか。

  4. ご示唆ありがとうございます。当該判物をアップしてみました。ご参考までに。