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織田信長、熱田祝師の所領を保護し、諸役を免除する

敵味方預ヶ物・俵物并神田、為何闕所之地候共、不有異見候、門外江使入候事、竹木所望・郷質取立候事、一切令免許之上者、末代不可有相違者也、仍如件、

弘治参年

霜月廿七日

上総介

信長(花押影)

熱田祝師殿

→愛知県史 資料編10「織田信長判物写」(田島家文書)

敵味方の預かり物と俵物、並びに神田は、どのような没収地になったとしても、口出ししてはならない。門外へ使いが入ること、竹木の要求・郷質を取り立てること、全て免除する上は、末代まで相違はない。

コメント 4

  • [いやー/]「不有異見候」とは信長が介入しないということではありませんか?
    [あわわ/]「不可有相違者也」とは。信長が契約を違えるようなことはしないといういみではありませんか?
    全体として真逆な訳だと思うのですが。[こぶた/]

  •  コメントありがとうございます。ご質問いただいた件ですが、この判物は禁制と同じ構成をしていると考えています。禁制は寺社宛に発行されますが、略奪を禁止する対象となるのは発行者側の軍人・軍属全般となります。つまり、本当のあて先は自軍になります。寺社は禁制を盾に軍事徴発に抵抗するのです。
     同じように、この判物で異議を唱えたり違反をすると想定されているのは、不特定多数の個人・団体を指しています。将来係争となった場合を想定して、発行者と受給者は判物を扱っています。具体的には、織田信勝判物(https://old.rek.jp/index.php?UID=1246469885)のような使用方法です。この場合も不正な訴状を出すのは信秀でも信長でもありません。
     この前提が判りづらかったかも知れませんね。本当のあて先に関しては『信玄と勝頼』(岩波文庫)に詳しく説明されていますので、ご参照下さい。

  • 説明ありがとうございました。
    言われる意味はわかりますが、訳はやはり文意を伝えていないと思います。
    自軍の総司令官は信長なのですから、「信長がさせない」のであり、不特定多数であれ、尾張国の最高主権者は信長ですから、これも「信長がさせない」のだと思います。だから、信長には「異見はのべないであろう」なのであり、信長は「末代まで相違することはないだろう」なのだと思います。
    もうひとつ質問させてください。
    「門外江使入候事」とありますが、なぜ「門内」ではないのですか。
    よろしくお願いします。

  •  コメントありがとうございます。信長が保障を行なった点には、私も異論はありません。ただ、その保障を根拠に防御を行なったのは熱田祝師です。
     あえて訳文に解釈を補うならば、以下のようになるでしょう。
     (熱田祝師が所持している)敵味方の預かり物と俵物、並びに神田は、どのような没収地になったとしても、(任意の第3者が)口出ししてはならない(と信長は命じる)。(また同様に、熱田社の)門外へ(任意の第3者の)使いが入ること、(任意の第3者の)竹木の要求・郷質を取り立てること(は)、(信長が熱田祝師にこれらの徴発を)全て免除する上は、(任意の第3者も)末代まで相違な(く、使いを入れたり徴発を行なったりしな)いように(信長は命じる)。
     ただ、この形では訳文にならないため入れてはいません。ご了承下さい。
     また、「門外江使入候事」の門外は、現代的な意味合いではなく、門前町のような捉え方かと推測しています。

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