就今度憲当入国令供奉、此口在陣、依之、常・野両国諸家中、其外出張之儀、度々雖及催促候、遠境故歟、其首尾于今遅々、然者、乍御大儀、彼口へ打御越、各被引立簡要候、上・武之衆、悉被復先忠候、様躰之事、委細御見聞之趣、御伝話専一候、恐々敬白、
十一月廿九日
景虎御居判
龍渓寺
玉床下
→上杉家御書集成I「長尾景虎書状写」(伊佐早謙氏所蔵三股文書)
1560(永禄3)年に比定。龍渓寺は佐野在。
この度上杉憲政が入国するお供をすることについて、こちらに在陣。これにより、常陸国・下野国の諸家中その他が出撃するよう度々催促してはいますが、遠距離ということもあってか、その首尾は未だに遅々としています。ということで、お手数ですがあの方面に赴いていただき、各自を促すことが肝要です。上野国と武蔵国の衆はことごとく前の忠義に戻っています。その様子や細かい情報をそれぞれに伝えていただくのに専念して下さい。