猶以御辛労難申尽候、時分柄と申、すいりやう申候、
急度申候、仍従御奉行其方へ依御理候、細川衆めしつれられ、早々御移、外聞実儀畏入候、此等趣、良善へ申入候、定而可被仰候、然者竹千世・吉田之内節々御心遣、別而無御等閑しるし忝存、与風此苻へめし下候、御訴訟大方ニも候ハゝ、我等罷上御礼可申候、城中之者共、不弁者之儀共候、御異見頼入候、万吉左右可申入候、恐々謹言、
八月九日
松和泉守 親乗(花押)
田嶋新左衛門尉殿 まいる
→静岡県史 資料編7「松平親乗書状」(田島文書)
1557(弘治3)年に比定。
急ぎ申し上げます。御奉行からあなたへ説明されたように、細川衆を召し連れて早々の移動、外聞実儀に恐れ入っています。この趣旨は良善(良知善左衛門?)へ申し入れています。さだめしご指示があるでしょう。ということで竹千世・吉田の中(人質?)にも折々心遣いをいただき、放置されることもないのは特にありがたいことです。思いがけずこの駿府に召し下され、御訴訟が粗略になるならば、私が上って御礼を申し上げましょう。城中の皆は不便でしょうが、意見をお願いします。万事吉報を申し入れることでしょう。
さらに御辛労は言葉に尽くしがたいことです。時節柄、ご推量下さい。