貴札拝見、本望之至候、近年者、遠路故不申入候、背本意存候、抑駿州此方間之義、預御尋候、先年雖遂一和候、自彼国疑心無止候、委細者、御使可申入候条、令省略候、可得御意候、恐々謹言、
天文十七
三月十一日
氏康 在判
織田弾正忠殿
→戦国遺文 後北条氏編「北条氏康書状案写」
お手紙拝見しました。本望の至りです。近年は遠路もあって書状も滞っておりましたが、本意ではありません。駿河国(今川氏)と我々とのことをお尋ねでしたが、先年和平を結んだとはいえ、あの国からの疑心は止みません。詳しくは御使者にお伝えしましたので省かせていただきます。お心に添いますように。