如来札、近年者遠路故、不申通候処、懇切ニ示給候、祝着候、仍三州之儀、駿州無相談、去年向彼国之起軍、安城者要害則時ニ被破破之由候、毎度御戦功、奇特候、殊岡崎之城自其国就相押候、駿州ニも今橋被致本意候、其以後、萬其国相違之刷候哉、因茲、彼国被相詰之由承候、無余儀題目候、就中、駿州此方間之儀、預御尋候、近年雖遂一和候、自彼国疑心無止候間、迷惑候、抑自清須御使并預貴札候、忝候、何様御禮自是可申入候、委細者、使者可有演説候、恐々謹言、

十七年

三月十一日

氏康 在判

織田弾正忠殿

御返報

→戦国遺文 後北条氏編 「北条氏康書状案写」

お手紙のように、近年は遠路もあって書状が滞っておりました。丁寧にご連絡いただいて嬉しく思います。三河国のことですが、駿河国に相談もなく、去年あの国に向けて軍を進め、安城城をすぐに陥落させたとのこと。いつものご戦功、素晴らしいことです。ことに岡崎城をその国より押さえていることで、駿河国にも今橋で本意を遂げられ、それ以後、その国では万事の支配が相違してしまったのでしょうか。このことで、あの国に詰められたと承りました。無理もないことです。特に駿河国とこちらの関係でお尋ねいただきました。近年和平を結びましたが、あの国から疑心が止むことがなく困惑しております。清須から御使者とお手紙を頂戴したこと、かたじけなく思います。とにかくお礼を申し上げます。詳しいことは御使者よりご説明があることでしょう。

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