犬居三ヶ村定置法度之事
一、山中被官・百姓等、対景泰企非議之訴訟、属他之手、剰直ニ可令奉公之由雖申上、不可許容事、
一、百姓等年貢引負、或隣郷山林不入之地就令徘徊、相届任法度可加成敗、并山中寺庵等小寺領・屋敷以下無相違処、背地頭直可支配之旨、判形等雖申上不可許容事、
一、当知行分百姓等拘置、野山・屋敷等令不作、就陣番夫公事以下迷惑之由、雖訴訟不可許容、其上於在所徘徊者、雖為誰被官・百姓在所お可追払事、
右条々、不可有相違、以此旨弥可抽奉公之状如件、
天文十九年十一月十三日
治部大輔(花押)
天野安芸守殿
→戦国遺文今川氏編978「今川義元判物」(広島大学日本史学研究室所蔵天野文書)
一、山中の家臣と百姓たちは、天野景泰に対して非合理な訴訟を企て、他の主人に属したり、さらには今川家直属になりたいと申請している。これは許されないこと。
一、百姓たちが年貢を納めなかったり、あるいは隣の村の山林・不入の地を徘徊したら、届け出て法規に照らして処罰するように。並びに、山中寺庵など小寺領・屋敷以下は相違ないところ、地頭に背いて、直轄支配となるよう判形などで申請しているが許すことはないこと。
一、当知行分の百姓らを保持して、野山・屋敷などを作らず、陣番や夫役、公役について困っているとのこと。訴訟したとはいえ許容しない。その上、在所を徘徊する者は、誰の被官・百姓であっても追い払うこと。
右の条項、相違があってはならない。この旨をもってますます奉公にぬきんでるように。