其面之儀、利家相越、具申通、被聞召候、此中無由断由、尤被思召候、仍国ゝ地下人百姓等、小田原町中之外、悉還住事被仰付候条、可成其意候、然処人を商買仕候由候、言悟道断無是非次第候、云売者、云買者、共以罪科不軽候、所詮買置たる輩、早ゝ本在所へ可返付候、於自今以後、堅被停止之間、下ゝ厳重ニ可申付候也、
卯月廿七日
[秀吉朱印]
羽柴越後宰相中将 とのへ
→小田原市史 資料編I 825「豊臣秀吉朱印状」(米沢市教育委員会所蔵上杉家文書)
天正18年に比定。
その方面のこと、前田利家から報告があり、詳しい内容をお聞きになりました。この状況でも油断ないとのこと、ごもっともとの思し召しです。さて、国々の地下人・百姓らは、小田原町中以外へは、全て原住所に戻されるということですから、その意を成すようにして下さい。そうしたところ、人を売買したとのこと、言語道断で是非もない次第です。売った者といい、買った者といい、共に罪は軽くありません。結局のところ、買い置いている輩を、早々に本在所へ帰して下さい。これ以後は強く停止するので、下々へ厳重に指示するように。