「上杉殿[切封墨引]勝頼」
新館之普請、令出来之旨、被聞召及、為祝詞、三種并柳五十贈給候、誠御入魂之至、不知所謝候、内々近日可移居心底二候之処、氏政家僕松田尾張守次男笠原新六郎、豆州戸倉之在城、不慮二属当方幕下候之条、為彼国仕置、令出馬候故、遅引候、如何様帰陣之節、以使者可申達候、恐々謹言、
十一月十日
勝頼(花押)
上杉殿
→戦国遺文 武田氏編3622「武田勝頼書状」(米沢市上杉博物館所蔵・上杉家文書)
新しい館の普請が出来上がった旨をお聞きになり、お祝いの言葉と三種と柳酒50をお送りいただきました。本当にご親切の至りで、感謝の言葉もありません。内々で近日転居しようという心積もりでしたが、北条氏政の家臣松田尾張守次男の笠原新六郎が、伊豆国戸倉の在城ですが、思いがけず当方に従属しましたので、あの国の対処のため出馬することとなり、延期しました。状況は帰陣の際に使者をもって申し上げるでしょう。