大戸之地被取立由、殊嶮難ニ候歟、肝要至極候、委細者、氏直可被相達間、閣筆候、恐ゝ謹言、

三月二日

『北条左京大夫』氏政(花押)

安房守殿

→戦国遺文 後北条氏編2506「北条氏政書状写」(諸州古文書武州十二)

天正11年に比定。

 大戸の地を取り立てられたとのこと。格別に峻険な場所なのでしょうか。とても大切なことです。詳しくは氏直に言ってありますから、筆を置きます。

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2 comments untill now

  1. お久しぶりです。
    管見ですが「閣筆候」と書かれた古文書はあまり見たことが無いように思います。
    「詳しくは氏直に言ってあります。」で終わることが多いのではないのでしょうかね。
    また勉強になりました。ありがとうございました。 😉

  2. コメントありがとうございます。こちらこそご無沙汰申し上げております。

    ご指摘の通り、「筆を閣く」という表現は珍しいですね。この氏政はどうも奥歯に物が挟まったような言い方をしています。「本当はもっと色々と言いたいが氏直に一任しているから止めておく」というニュアンスを感じます。この前年12月に長尾左衛門入道に送った書状(http://rek.jp/?p=5639)も併せてご覧いただくと、代を譲ったものの不安……という氏政の焦燥が見て取れるかも知れません。