先段之文、其砌返答ニ可及由存候へ共、障故遅ゝ、無沙汰ニ無之候、又此度之書付披見、誠祝着無是非候、於氏直一代、其方ニ無沙汰有間敷候、八幡大〓(草冠+廾)偽ニ無之候、向後之儀、万端ニ付而可被申越候、又存分も候者、無内外可承候、必可引立候、猶存分重而可申候、先明朝早ゝ帰路尤候、此さた必御無用ニ候、謹言、
六月三日
氏直(花押)
小兵衛尉殿
→小田原市史2264「北条氏直書状」(神奈川県横浜市 県立文化資料館所蔵小幡文書)
花押から天正14~15年に比定。
先段の書簡、その際に返答しようと考えておりましたが、支障があって遅れたためで、粗末に思ったからではありません。また、この度の書付を拝見し、本当に祝着で是非もありません。氏直一代において、あなたを粗末にはしません。八幡大菩薩にかけて偽りはありません。今後のことは、全てにわたってお申し出下さい。また、ご存分があれば内外問わずに承りましょう。必ずお引き立てします。さらに存分を重ねて申します。まずは明朝早々に帰路につくのはごもっともです。このことは内密にお願いします。