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北条氏政、北条氏邦に、由良氏への迎撃と利根川水位について語り、普請の優先を確認する

長尾・成田・深谷各返答披見、何も下知之筋目相済間、尤候、 一、由良善筋へ及行、百余人討捕由、物始之仕合、誠肝要至極、心地好候、 一、満水推量候、曲時分之連雨、無是非候、乍去今日晴候間、此侭可属晴候歟、普請之儀、雖不及申候、念を御遣専一候、毎度愚身之少見、残所者、はやぬたにて候、以前も此塩味申候つる、此度之極普請申候、又と云儀者、三年之内者、成間敷候、猶重而可申候、又模様節ゝ可承候、恐ゝ謹言、
二月十一日
氏政(花押)
安房守殿

→戦国遺文 後北条氏編 1833「北条氏政書状」(本多夏彦氏保管黒沢文書)

天正4年に比定。

 長尾・成田・深谷おのおのの返答を拝見、いずれも下知の筋目を済ましているので、もっともなことです。一、『由良善』方面へ邀撃に及び、100余人を討ち取ったとのこと。作戦の第一歩は本当に大切です。心地よく思いました。一、満水の推量。間の悪い雨が続いたのは仕方のないことです。さりながら今日は晴れていますから、このまま晴れが続くのでしょうか。普請のこと、申すまでもないとはいえ、念を入れられることが専ら大切です。毎度の愚見ですが、(普請が)し残されたところはもうぬかるんでいます。以前もこの考慮について申していますが、この度の作戦は普請に極まるのです。又の機会は3年は巡ってこないでしょう。さらに重ねて申しましょう。その他状況を折々にお聞きしましょう。

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