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徳川家康、訴訟や人事について定める

定条々
一諸公事裁許之日限、兎角申不罷出輩、不及理非可為越度、但或歓楽、或障之子細、於歴然者、各へ可相断事
一元康在符之間、於岡崎、各批判落着之上罷下、重而雖令訴訟、一切不可許容事
一各同心之者陣番並元康へ奉公等於無沙汰仕者、各へ相談、給恩可改易事、付、互之与力、別人ニ令契約者、可為曲事、但寄親非分之儀於申懸者、一篇各へ相届、其上無分別者、元康かたへ可申事
一万事各令分別事、元康縦雖相紛、達而一烈而可申、其上不承引者、関刑・朝丹へ其理可申事、付、陣番之時、名代於出事、可停止、至只今奉公上表之旨、雖令訴訟、不可許容事
一各へ不相尋判形出事、付、諸篇各ニ不為談合而、一人元康へ 雖為一言、不可申聞事
一公事相手計罷出可申、雖為親子、一人之外令助言者、可為越度事
一喧〓(口+花)口論雖有之、 不可贔屓、於背此旨者、可成敗事、付、右七ヶ条於有訴人者、遂糾明、忠節歴然之輩申旨令分別、随軽重、可加褒美者也、仍如件、
永禄二 未己年
五月十六日
松次 元康(花押)

→豊明市史 「松平元康定書」(桑原弘道氏蔵)

 一、諸々の訴訟で決められた日限について、とやかく言って出頭しない者は理由を問わず敗訴とする。但し、歓楽であっても不可避の事情であっても、前もって判っている者は、それぞれ断りを入れておくこと。
 一、元康が駿府にいる間は、岡崎ではそれぞれで検討・決議してから(駿府に)下ること。重ねて訴訟しようとしても、一切許容しない。
 一、それぞれ同心の者は、陣番と元康への奉公などを無沙汰する者があれば、それぞれへ相談し、所領を改易すること。付則として、お互いの与力が別の主人と契約することは不法である。但し、寄親に問題があると申し出る者があれば、一度それぞれへ届けさせ、その上で判断がつかなければ元康へ申し出ること。
 一、万事はそれぞれが判断すべきことで、元康がたとえ介入しても、断固として諫言するべきである。その上で不承知であるなら、関口刑部・朝比奈丹後守にその旨伝えること。付則として、陣番の時は名代を出すことは禁止する。現在に至るまでの功績を持って訴訟したとしても、許容しないこと。
 一、それぞれへ確認せずに判形を出すこと。付則として、何事も協議を経ず、ただ元康だけに言ったとしても、聞き届けないこと。
 一、訴訟の相手だけが出頭して証言すること。親子であっても、当事者以外が助言するのであれば敗訴とする。
 一、喧嘩・口論があったとしても、贔屓はしないこと。この旨に背くものは成敗するだろうこと。付則として、右の7箇条で訴人があるなら精査し、忠節が歴然の者かを判断せよ。軽重に従って褒美を加えるであろう。

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