大藤召寄儀者、敵中筋へ深ゝ與可動由風聞候間、若就動入者、可為無二之一戦覚悟候間、召寄候、又各事者、何方火ニ成候共、水ニ成候共、不取逢、其地堅固ニ可相拘候、何方ニ凶事出来候共、其地一足も此方へ来間敷覚悟可致之候、如何様之金言妙句候共、其地を捨、此方へ来ニ付而者、当方名字之有間者、可切頸候、能ゝ致塩味、一途ニ致談合、人足をも遣候間、一三昧可致普請候、敵者定而自武州可為退散候、源三一札、各為披見遣候、謹言、
九月十七日
氏政(花押)
→神奈川県史「北条氏政書状写」(諸州古文書相州豆州二十四)
大藤を招集した件。敵が中筋へ深々と侵入することを風聞で聞いており、もしそのように進軍するならば無二の一戦をなすよう覚悟を決めていますので、召集しました。また各自のことですが、どこかが火になろうと水になろうと取り合わず、その地を堅固に守備して下さい。どこかに凶事が発生しても、そこに行かないよう覚悟を持って下さい。どんな巧みな言葉を用いようとも、その地を捨ててこちらに来るようなことがあれば、我々の名字が存在する限り斬首することでしょう。よくよく熟考して一途に談合し、人足を派遣します。充分に普請を行なって下さい。敵は恐らく武蔵国より退却することでしょう。源三の書状と合わせて、それぞれご覧下さい。