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矢野憲信、雲頂庵に、神奈川上様の進退について五郎殿様の意向を伝え、白井・上様・大殿の間柄は常に隔意があると助言する

就神奈川 上様御進退事、自白井断而被進御文候歟、殊外驚思食、色ゝ被仰越候哉、以斎藤式部入道、条ゝ御意見旨共候、速有御下向、此方御意見之筋目被聞召合、始末無相達様、此度御返事候様ニ、可有御意見候、万一御聊尓御返事候者、五郎殿様当所於可被相退分ニ御治定候、其時者、白井御事、色ゝ御刷最中も、無其曲成行候者、御三人御進退、諸家嘲浅間敷候、大殿與上様御両所御間事者、何時も如此儀者、不可苦敷候、恐ゝ敬白、

九月廿九日

 憲信(花押)

雲頂庵 侍司

→神奈川県史 資料編36341「矢野憲信書状」(雲頂庵文書)

 神奈川の上様ご進退について。白井より強硬に御文を進められたのでしょうかと、ことのほか驚かれて、色々とご指示なさったのでしょうか。斎藤式部入道によって、箇条書きでご意見した次第です。速やかにご下向してこちらの意見の筋目をお聞きになり、始末に相違がないよう、この度お返事いただいたようにご意見なさいますように。万一いい加減なお返事でもなさいますと、五郎殿様と当所が退くことは間違いありません。そのときは、白井のこと、色々と交渉している最中でもその成果はありませんから、お三方のご進退は、諸家の嘲りとなり見苦しくなります。大殿と上様のご両所の間のことは、いつもこのようなものですから、気に病むことはありません。

コメント 2

  • あけましておめでとうございます。「静岡県のお城 ~ブログ編~」管理人のたいぞうです。

    昨年は古文書の解釈など御教示いただき、誠にありがとうございました。
    本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

    たいぞう

    • コメントありがとうございます。

      たいぞうさんのサイトで取り上げておられた北条綱成書状では、思いがけず大変興味深い発見ができました。その後調べたところでは、1574(天正2)年当時の蘆名・白川氏はかなり劣勢で、私が提案したような『日和見』どころではなかったようです。この辺はまたいつかまとめられればと思っています。

      独りではなかなか視野が広がりづらいので、今年も色々とご意見頂戴できますと嬉しいです。こちらこそ、これからも宜しくご教示の程お願いいたします。

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