(今川義元花押)
当宿伝馬之儀、天文廿三年仁以判形五箇条議定之処、
一里十銭不及沙汰由申条、重相定条々
一雖為如何様之公方用并境目急用、一里十銭於不沙汰者、不可出伝馬事
一毎日五疋之外者、可為一里十五銭事
一号此一返奉行人雖令副状、可取一里十銭事
附、壱里十銭依不沙汰伝馬不立之上、荷物打付雖令通過不可許容、縦荷物雖失之、不可為町人之誤事
右条々、如先判不可有相違、若於有違背輩者、注進交名者也、仍如件、
永禄元 戊午
八月十六日
御油
二郎兵衛尉
→静岡県史「今川義元判物」(林文書)
この宿の伝馬のことは、1554(天文23)年に判形の5ヶ条を定めているところであり、
一、1里10銭は処理に及ばないとのこと、重ねて定める。
一、どのような公用・国境の急用のためとはいえ、1里10銭を支払わない者には伝馬を出さないこと。
一、1日5疋を超える場合は1里15銭を取り立てること。
一、今回は特例であるという奉公人の添え状があったとしても、1里10銭は取り立てること。
付則、1里10銭が支払えなければ、伝馬は立てずに荷物を拘置し、通過は許容しないように。たとえ荷物が失われたとしても、それは町人の過失ではない。
右の条項は、先の判形に相違があってはならない。もし違反する者があれば、名前を報告すること。