極端に異なる意味を持つ、扱いが難しい言葉。「紛争する」と「仲介する」という両方の意味が、ここにアップした文書内で出てくる。「紛争する」という場合は「取り合う」、「仲介する」という場合は「執り成す」として現代語につながるものと思われる。
「取相」は「相」を「あい」と読み、「取合」と同じ言葉の別表記となる。
■仲介するという用法
「誠以神妙之至候、帰宅之上、氏政江取合可申、為証文、判形進置候者也」
「誠以神妙之至候、帰宅之上、氏政江取合可申、為証文、判形進置候者也」
■紛争するという用法
東取合之刻、於当国興国寺口今沢、自身砕手、親類・与力・被官多数討死、無比類動之事
東取合之刻、於当国興国寺口今沢、自身砕手、親類・与力・被官多数討死、無比類動之事
■どちらともとれる場合
「先年尾州岡崎取合之刻、対広忠令無沙汰之条」
「先年尾州岡崎取合之刻、対広忠令無沙汰之条」
一番微妙な例を挙げてみた。岡崎城の松平広忠が尾張と同盟したために無沙汰となったのか、尾張と岡崎が紛争となったために無沙汰となったのかは、この文書だけでは決めがたいものがある。何れにせよ、松平氏が織田氏と何らかの状態(同盟か交戦)に陥ったために今川方への納税が滞り、その知行地を差し押さえたのが長田喜八郎だった。それを義元が賞したというストーリーが描ける。