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羽柴秀吉、北条氏直に、助命と引き換えに氏政・氏照・憲秀・政繁の切腹を命ず

[端裏書]「七月五日北条氏直所へ之御朱印之写」

当城立籠候人数、大将之事ハ不及申、下ゝ迄ほしころしニさせらるへきと被思食候処、其方一人罷出、是非腹を仕候ハん間、所勢被作助候ハゝ可忝旨申候由、羽柴下総・黒田勘解由両人懇致言上候、其方申様神妙なる躰、被感思候間、御法度ニて無之候ハゝ、命之儀被成御救度被思食候へ共、御法度之儀候間、無是非候、但親候氏政并奥陸守・大道寺・松田四人諸行ニて表裏之段、聞食被届候条、両四人ニ腹をきらせ、其方儀ハ被助置度被思食候間、是非両四人ニ可被相究事可然候、今日之罷出儀ハ、感入思召候条、外聞之儀ハ天下へ御請乞候間、心安存候へく候、為其如此被仰出候、

「又御自筆之御はしかき」

尚ゝ是非四人可然候、

→小田原市史 史料編 原始・古代・中世I 885「豊臣秀吉朱印状写」(小早川家文書『椋梨家什書六』)

天正18年に比定。

 当城へ立て籠もった者たちは、大将は言うに及ばず、下の階級まで干し殺しにすべきだと思し召しのところ、あなたが1人で出てきて、是非腹を切らせてほしいので諸勢は助けてもらえるならありがたいと申し出た旨、羽柴下総・黒田勘解由の両人が丁寧に言上しました。あなたの神妙な態度に感銘されましたので、ご法度にはありませんが命はお助けになりたいとの思し召しです。しかしご法度がありますので変えられません。ただし、親であります氏政と、陸奥守・大道寺・松田の4人は行動に裏表があったことを聞き及ばれています。この4人に腹を切らせ、あなたのことは助けたいとの思し召しですから、ぜひ4人に覚悟を決めさせ実行して下さい。今日(城を)出てきたことは感じ入っておられますから、外聞のことは天下へ(許しを)請うていただけますから、ご安心いただけますように。このように仰せいただいております。
 (ご自筆の端書)なおなお、是非4人をしかるべく。

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