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北条氏政、縣因幡守に、下野国方面の戦況を伝える

四日注進状、今七日辰刻参着候、仍■■先書、敵榎本表張陣、於当方構之地■兼日堅固之備ニ申付候間、於後詰可有時節由、雖覚悟候、手遠之諸味方中、定苦労可有之由、令校量間、為始陸奥守、武州・下総両国之人衆悉今朝打立候、愚之事者、西口難計候間、聞合候、万乙勝頼上州打出候■、不移時刻可出馬候、細ゝ注進待入候、将亦自京都下候者之書付令披見候、従此方指遣使も、定近日可帰候間、珍説有之ハ、急度可申届候、恐ゝ謹言、

追而、彼商人市左衛門者、道ハ何を通候哉、必重而之使ニ、能ゝ糺明候て可承候、信濃口をハ手堅相留由、此方ヘハ自京都返答ニ候間、実否為可知候、已上、

氏政(花押)

縣因幡守殿

→戦国遺文 後北条氏編2234「北条氏政書状」(永倉恵一氏所蔵縣文書)

天正9年に比定。

 4日の報告書、今日7日の辰刻(午前8時)に到着しました。先の書状で書いたように、敵は榎本方面に陣を張り、こちらの防御拠点はかねてから堅固に備えておくように指示しておりましたから、後詰においては好機とのこと覚悟しています。とはいえ、遠方にいる味方の皆様は、きっと苦労するだろうと思案しておりますので、陸奥守氏照を初めとして武蔵・下総両国の部隊を今朝出動させました。私の方は、西戦線が判断しづらく情報を集めています。万一勝頼が上野国に出撃したら、時を逃さず出馬するでしょう。細かい事でも報告を待っています。また、京都より下ってきた者の書付をお見せします。こちらから派遣した使者もきっと近日帰ってくるでしょうから、珍しい話があったら急いでお伝えします。
 追伸:あの商人市左衛門は、道は何を通ったのですか。よくよく調べて、重ねての使いでは必ずご報告下さい。信濃口は厳重に封鎖されているとのこと、こちらへは京都より返答がありましたので、実否を知りたいのです。

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