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北条氏政、寒松斎に、甲斐への侵攻計画を伝える

御札祝着候、余無御心元候故、自是申達候キ、河尻参着者、可有御披見候、 一、陣庭堅固、先肝要候、対陣迄ニ候、抑一城道中ニ有之さへ、依所不被通ハ常之習候、一万之遠州衆在陣候を、縦廻路少ゝ自由候共、可押上之勝利、我ゝハ一切不及分別候、況以絵図数度糺明候ニ、努ゝ被通間敷候、無理弓矢を以失利、数代之武功を可成水事口惜候、能ゝ御分別尤候、於爰元昼夜之苦労可有賢察候、其元御苦労ハ、淵底推量申候、委細江雲口上ニ申候、能ゝ可有御尋候、恐ゝ謹言、

八月廿五日

 氏政(花押)

寒松斎

→戦国遺文 後北条氏編2403「北条氏政書状写」(相州文書所収淘綾郡荘左衛門所蔵文書)

天正10年に比定。

 ご書状いただき祝着です。余りお心元ないだろうと、こちらからご連絡しました。川尻が到着したらご覧になれるでしょう。一、陣地を堅固にするのがまず肝要です。対陣するまでのことです。そもそも一城の道中にあってさえ、場所によっては通行止めにするのはよくある事です。1万の遠江衆(徳川方)が在陣していますものを、たとえ迂回路が少々手薄になったとしても、押し上げて勝利するでしょう。我々が判断するまでもないでしょう。いうまでもなく、絵図で数回詳しく調べていますから、間違っても通してはなりません。無理な作戦で利を失い、数代の武功を水に流すのは口惜しいことです。よくよくご判断されるのがもっともです。こちらでの昼夜の苦労をお察しいただけますよう。そちらのご苦労は奥深くまで推量しております。詳しくは江雲(江雪?)が申し上げます。よくよくお尋ねになって下さい。

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