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後北条氏、岡本八郎左衛門尉の着到を定める

着到定

一五拾九貫文 相州東郡 吉岡

此着到

一本 大小旗持、具足・皮笠、

一本 四方指物持、同理、

二本 鑓、二間之中柄、武具同理、

一騎 自身、甲大立物・具足・面防・手蓋、馬鎧金、

二人 歩者、具足・皮笠、

以上七人

一小田原於御蔵可請取衆

[五貫文 歩侍、甲立物・具足・手蓋

[弐貫四百文 二人扶持一本鑓 武庄左衛門尉

七貫四百文 二人同理 鈴木半右衛門

七貫四百文 二人同理 杉山惣次郎

七貫四百文 二人同理 大庭弥七郎

以上廿九貫六百文此内 廿貫文   給

九貫六百文 扶持八人分

以上

合拾五人 上下

此内

一本 小小旗 四郎左衛門

一本 指物  源十郎

六本 鑓 源四郎 平四郎 與五郎 三入 衛門四郎 藤二郎

一騎 馬上

四人 歩侍 清右衛門

二人 歩者 大郎五郎

以上拾五人

一此帳に書戴候寄手、或者闕落、或ハ令死去者、五日中令披露、一跡之様子下知次第可立之候、若号失念、五日を踏出相尋時令披露者、背掟条、寄子之跡他人ニ可申付候、其時公儀へ侘言不可付候事、

一御出馬より一日も遅罷立、一騎合有之者、則可披露候、若令用捨、御尋之上候者、背掟間、彼寄子可付他人候、公儀不可有相違事、

一武具仕置相背者有之者、其品ゝ何時も相註可披露事、

以上

右、改而着到如此相定候、武具等致様、委細ニ書記畢、各少も無相違可致之候、抑軍法者、国家安庄所也、背法度付而者、随罪科軽重、無用捨可被出条、兼而無誤様ニ覚悟専肝候、畢竟岡本前ニ可有之間、時ゝ刻ゝ寄子ニハ合助成、掟無異義可走廻儀、可為忠信候、仍定所如件、

元亀二年 辛未

七月廿八日

岡本八郎左衛門尉殿

→神奈川県史「北条家着到定書写」(北条家着到帳)

(計数部分省略)
一、この帳面に記載した寄手で、逃亡か死亡した者があれば、5日までに明らかにして下さい。補充は指示があり次第行なうように。もし忘れて5日を過ぎ調査の結果明らかになったなら、掟に背いたこととして寄子の跡は他の人間に申し付けます。そうなった場合に公儀(後北条氏)への陳情も受け付けません。
一、御出馬より1日でも遅れて出立する一騎合がいれば明らかにして下さい。容赦させた結果、調査で明らかになった場合、掟に背いたのでその寄子は他の人間に申しつけます。公儀も相違はないでしょう。
一、武具の準備に背く者がないように。その品々は常にリストにして明らかにしておくこと。
以上
右は改めて着到としてこのように定めます。武具などを備えるよう詳細に記載しました。各項目いささかの相違もないように。そもそも軍法は国家の安危を決めるものです。法度の違反については、罪科の軽重に従って容赦なく執行します。誤りのないように覚悟することが肝要です。畢竟岡本は前にあったので、時々刻々寄子に助成して、掟に異議なく奔走して忠信をなして下さい。

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